空想にモウソウ mimic wood owls

一枚の写真からのインスピレーションで、好き勝手文章を書きます。自由過ぎてすみません。※全てフィクションです。

キスがしたい。

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私はこの私達を創った彫刻家を怨む。

 

なぜ、キスさせてくれなかったのか。我々銅像は言わずもがな一ミリ足りとも動くことは出来ないのに、何故キスの一秒前の瞬間を切り取ってしまったのか。彫刻家に言わせれば、この瞬間こそが芸術とのたまうのかもしれないが、こんなことは知ったことではない。私は次の瞬間を楽しみにしているのだ。次の瞬間のために、この世に生を受けたと言っても過言ではない。10年に一度1ミリずつ唇同士が近づくだけでもいい。それがあれば、私は希望を持ってこの世を受け入れる事が出来る。しかし、その夢はきっと叶わない。そして、私はキスを終える事なく、無情にも崩れ去る運命なのだ。焦らされた末にハッピーエンドが用意されていない残なさは計り知れない。

 

あぁ。