空想にモウソウ mimic wood owls

一枚の写真からのインスピレーションで、好き勝手文章を書きます。自由過ぎてすみません。※全てフィクションです。

最後の人間

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人は死に絶えた。

 

でも、偉いもんで街灯はその役目を果たし続けていた。人間が何でもかんでも自動化を推し進めた結果、街の電灯や時計塔の時計、自動販売機などは自分自身でエネルギーをやり繰りしながら、仕事を続けている。まるで、いつまでも帰ってこないご主人を待つ忠犬ハチ公のように、電力を使い続ける。この街にいる人間は最早わたし一人きりとなってしまった。何故、わたしは生き残っているのかと言うと、わたしは半分機械に身体を委ねたからだ。

 

人間の機械化は密やかに行われていたが、多くの人は機械化を嫌がった。機械化の大きな欠点は生殖機能を失うという点にあった。だから、機械化を選んだ人間は壊れて減ることはあっても、増えることはなかった。

 

昔は街の電灯から直接電気を身体に充電している人を多く見かけた。それこそ、電灯の3本に1本はそういう用途で電灯は使われていた。今は誰一人そんな事をする人はいない。わたし自身、もうここらが潮時かと思っている。もうとっくに充電を求める赤が点滅しているが、こうして橋の上に立ってぼーっとしているのは、そういう訳だ。わたしが最後の人間だった。そういう事でいいんじゃないだろうか。