空想にモウソウ mimic wood owls

一枚の写真からのインスピレーションで、好き勝手文章を書きます。自由過ぎてすみません。※全てフィクションです。

2019-02-01から1ヶ月間の記事一覧

この世の果ての案内人

『この世の果てに案内します。』 わたしはこの如何わしい広告に、何故か惹かれてしまった。4、5回躊躇ったが、結局電話してみようと思い、連絡してみた。電話先の男の人の声は柔らかく、わたしは一瞬にして心を掴まれてしまった。この世の果てに行くのだから…

猿のことわりから外れた猿。

わたしの趣味は木の枝を見て、樹齢を予測することだ。 中々、渋い趣味だとは自分でも思う。周りの猿たちがそこら中で縄張り争いや女猿をナンパしているが、わたしは少し猿のことわりからは外れた存在なのかもしれない。木の枝を見る方がよっぽど面白い。最近…

次元の狭間の女の子

あなたにはわたしが現実に見える? それとも、絵に見える? わたしは結局、そういう抽象的な存在なのよ。 あなたが絵だと思えば、絵に溶け込むし、現実だと思えば、今にも動き出してあげるし。 いわばわたしはあなたが思うことを具現化させる存在なのよ。わ…

最後の人間

人は死に絶えた。 でも、偉いもんで街灯はその役目を果たし続けていた。人間が何でもかんでも自動化を推し進めた結果、街の電灯や時計塔の時計、自動販売機などは自分自身でエネルギーをやり繰りしながら、仕事を続けている。まるで、いつまでも帰ってこない…

カカシ達のジレンマ

深夜3時、カカシ達は蠢きだす。 カカシである目的を完遂するため、日夜彼らはトレーニングを欠かさない。天敵であるカラスを追い払うための肉体改造を夜行っているのだ。そのトレーニングは過酷を極める。その様子には、天敵のカラスもドン引くほどのものだ…

キスがしたい。

私はこの私達を創った彫刻家を怨む。 なぜ、キスさせてくれなかったのか。我々銅像は言わずもがな一ミリ足りとも動くことは出来ないのに、何故キスの一秒前の瞬間を切り取ってしまったのか。彫刻家に言わせれば、この瞬間こそが芸術とのたまうのかもしれない…