空想にモウソウ mimic wood owls

一枚の写真からのインスピレーションで、好き勝手文章を書きます。自由過ぎてすみません。※全てフィクションです。

次元の狭間の女の子

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あなたにはわたしが現実に見える?

それとも、絵に見える?

 

わたしは結局、そういう抽象的な存在なのよ。

あなたが絵だと思えば、絵に溶け込むし、現実だと思えば、今にも動き出してあげるし。

 

いわばわたしはあなたが思うことを具現化させる存在なのよ。わたしの手にかかれば、絵の中に住む架空の人物わ架空の生物も現実のモノにできるわ。

 

つまり、2次元の存在を3次元化できる能力を持っていて、わたし自身もその例外ではない訳。時々、人の考えが絵と現実で交互に入れ替わって、わたしの存在自体が危うくなったこともあったけれど。その人は結局、現実世界のわたしを選択したわね。

 

そして、その人はわたしに恋をした。

半分が2次元で、もう半分が3次元のわたしに恋をしたの。笑えるでしょ。

 

わたしはすぐさま絵の世界に逃げ込んだわ。そして、その人が通りかかるたび絵の世界の中に閉じこもった。怖かったのよ。完全に現実世界の人間として生きるのが。

 

でも、今思えばあの時、あの人と一緒になっていればねと思うわ。だって、そうしたらわたしはわたしでない新しい生命体になれたのですもの。そんな嬉しいことはないわ。

 

だから、わたしはまだどちらの人間でもないの。