空想にモウソウ mimic wood owls

一枚の写真からのインスピレーションで、好き勝手文章を書きます。自由過ぎてすみません。※全てフィクションです。

虫たちのダンスホール

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時は午前0時。

 

今日も水辺に住まう虫たちがそれぞれの色を携えて、特別なステージに集まってくる。お客が照明の役目を担い、羽を擦り合わせて各々が音楽を奏でるため、ミラーボールや音響設備は必要ない。そんな物よりもっと幻想的な光景がそこには広がっている。余計な費用が掛かっていないから、入場料は無料である。極めて、合理的でエコなダンスホールだ。勿論、虫同士の出会いもある。オス達はこの日に合わせて特別コンディションを仕上げてくる。メス達に光の演出はないが、フェロモンをぷんぷん匂わせていて、それだけで会場はムーディーな雰囲気になる。人間の預かり知らぬ地で虫達は夜通しパーディナイしてるのであった。

傘のきもち

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今日、私は置いていかれたのだ。

 

私はこの世に生まれついた瞬間から、人を雨から守るという使命を仰せつかった。そして、人間に尽くし尽くしてきた。それなのに、この仕打ちはなんだ。たしかに、ビニールボディーに身を包んだのは失敗だったと思う。人は安価な物を軽く見ている節があって、ビニール傘だから、無くしたっていいと思う所がある。人間はなぜ、この透け透けボディーに魅力を感じないのだろう。畳まれた傘が開く時、透け透けボディーが翻り立ち返る。その様はまるで、フィギュアスケートの選手さながらではないかと自分では思うのに、なぜだろう。私は人間に軽んじられたのだ。なんたる不覚。なんたる屈辱か。生まれ変わったら、折り畳み傘になってやる。そして、片時も人間の側を離れないでいてやってやる。はっ、捨てられたばかりなのに、まだ人間に施しを与えようとしている。私はなんて健気なんだ。

年末年始の病院の過酷さ

新年が明けた

元々、今日という日を迎えるのは、実家になる予定だったが、嫁が胃腸風邪になったため、こちらに留まることとなった。

 

嫁の体温がみるみる上がり、38度に達した時は、インフルかと思ったが幸い胃腸風邪だった。

 

インフルなら、会社を休んで仕事が出来ず、先々に、苦労が募るところであったから、良かったと思う。

 

実家では、私と嫁が久々に帰省するということで、肉やらカニやらたくさん用意していたというから、少し申し訳ない気持ちがした。

 

しかし、風邪をひいてはどうにもならない。

 

私は年末年始にも対応してくれる病院を探した。やはり近所の病院は軒並み診察をしていなかったが、車で10分ほどの距離の病院はやっていた。

 

しかし、私は車を持っていない。

徒歩だと、裕に30分は超えてしまう。

さすがに、この寒空の下嫁を歩かせる訳にもいかず、タクシーを呼ぶ。年末年始ということもあり、タクシーも台数を減らしているらしく、なかなか繋がらない。ようやく繋がったのは、4社目のタクシー会社に電話をした時であった。

 

さらに、病院にも予約の電話をしたが、専門の医師がいないため、現在2、3時間待つことになるということだった。

 

私はいいが、嫁にとって病院で過ごす2、3時間は苦痛でしかない。しかし、他に手段もないため、その病院で治療を受けることにした。

 

結果、インフルでなく、本当に良かった。