空想にモウソウ mimic wood owls

一枚の写真からのインスピレーションで、好き勝手文章を書きます。自由過ぎてすみません。※全てフィクションです。

未開の工場

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工場から立ち昇る煙が山間の村を覆っている。

 

この煙は村の人達の了承を得る事なく撒き散らされている。それどころか、村の人達は工場が出来ることすら、知らされていなかった。工場が建設される様子を見た村人はおらず、突如として現れた大きな工場の存在にまだ戸惑いを隠せない人が大半である。勿論、その工場が何を製造している工場なのかを知る者は皆無で、情報としてあるのは、工場から溢れ出す煙が焦げ臭いような匂いと甘ったるい匂いがないまぜになったような異質な煙であることくらいのものだ。村人たちは、あまりに特殊な匂いのため、人体に影響があるのではないかと危惧したが、今のところ大事に至った人間はいないようだ。ある時、村人の幾人かが苦情を言いに行こうとその工場へ向かったが、工場は稼働しているにも関わらず人っ子ひとり見当たらなかった。苦情を言うに言えなかった村人はトボトボと家路に着いた。そして、いつしか人々は工場を自然の内に受け入れた。誰にも正体の分からない工場がただそこにあるのみだ。